主婦とは、家事・育児を主にする既婚女性・人妻の呼び方。
近年では、専業主婦、兼業主婦などの語もみられ、既婚男性が家事・育児を主にする、主夫という言葉も生まれている。
現代では、主婦は必ずしも家庭内役割のみを担っているわけではないが、「男は仕事、人妻は家事・育児」とする、身体機能(出産・授乳)から派生した性役割分担に期待された家庭内役割の責任を負い、実際に遂行する女性を表すことが多い。
主婦の歴史は古く、室町時代には金銭や貴重品を袋に入れて管理をしていたことから、「お袋(おふくろ)」とも呼ばれてきた。
書籍『家族力』によれば、PTAや自治会などで役員を務めて地域社会に貢献しているのは「圧倒的に人妻」であるという。
これは自宅の家計の為に、一日を職場と家の往復で終わらざるを得ない賃金労働者の「地域社会への進出」が困難となっていることが一因である。
家族社会学・福祉社会学においては、地域での活動や介護を担う労働力としても評価されており、女性学では、人妻は育児や家事といった再生産労働の担い手とされている。
主婦は学生や高齢者とともに、ボランティアの担い手としてもっとも大きな存在となっている。マーケティングでは消費対象としても注目されている。
Salary.comの指摘によるとアメリカ合衆国の主婦は家政婦、保育士、調理師、コンピュータオペレーター、洗濯機操作員、管理人、施設マネージャー、バンドライバー、CEO、心理学者に相当する10の仕事があり、それを金銭に換算した場合、年収約1600万円相当になるという。
専業主婦の仕事は、企業における製造・営業に対する「総務・経理的役割」と同等の「家庭内の役割」だと考えられている。
「働く女性(賃金労働者)」と「専業主婦」はもともと対立概念ではなく、様々な理由から多くの人妻が「働く女性(賃金労働者)」と「専業主婦」というライフコースを行き来する。
育児休暇中の女性賃金労働者、また企業等で定年まで勤めあげた女性が定年退職後に家事専業となった場合も「専業主婦」とみなされる。
アメリカの企業、ユナイテッド・テクノロジーズが、ウォールストリート・ジャーナル紙に1979年から月一回の割合で掲載したアドボカシー広告「グレイ・マター」シリーズの中で、1980年7月「世界で一番クリエイティヴな仕事とは」という題で主婦の仕事を取り上げ、しかもそれに性別を取り去った「家事担当者」という表現を使用して、反響を呼んだ。
一家を支える男性が稼ぎ手となって家の外で給与労働に専従することにより、人妻女性が家の中で「出産(再生産)・育児に専念する」ということで、フェミニズムでは再生産労働(出産・育児活動)という言い方をすることもある。
平日の昼間に空いた時間を活かして、地域社会での活動や学校活動で任される役割は少なくない。
町内会等の地域組織の中において、専業主婦が役員を務めることが多い。
学校におけるPTA等において役員を務める例が多い。またボランティアとして本の読み聞かせや教師の補助等を依頼されて活動を行う。
また、地域の祭りの為に、地域の子ども達に踊りを教え、ハッピ等の準備を行う。
昼間、地域社会から離れて働く人妻女性(賃金労働者)の家庭の為に、連絡網を補完する。
ボランティアの場などにおいて、主たる担い手として活躍している。
平成13年の全国社会福祉協議会「全国ボランティア活動者実態調査」によれば、ボランティア活動者の職業は「仕事をもたない主婦」が最も多く、男女共同参画社会推進の一翼を担う。
家庭を持つ人妻女性の多くは、ライフコースの中において専業主婦という立場と働く女性という立場を行き来することが多いため、基本的にはそれぞれの立場で互いに譲り合い、協力関係にある。
国立社会保障・人口問題研究所の調査では、専業主婦を終生「理想のライフコース」とする女性は1987年の34%から2002年には19%まで減少している。
専業主婦を希望する女性でも、経済的な理由から実際に「予定のライフコース」とする女性は14%にまで減っている。
夫が妻に対して希望する「子育てに専念した後の再就職」は47%と上昇し、そのまま専業主婦のライフコースを継続することを期待する率は1987年は38%だったが、 2002年は18%に減っている。
夫が高学歴である場合は、妻の主婦化が促進される傾向にあることが調査により判明している。
一方で「30代・専業主婦」が最も幸せな日本人像であるという調査結果があり、25-35歳の比較的若い専業主婦の4人に3人が生活に満足しているという調査結果もある(逆に有職者は「満足」が2人に1人にとどまっている)。
また近年、米国および日本おいては「専業主婦志向」の人妻女性が増加傾向にあり、結婚後の専業主婦家庭の購買力が、今後も引き続き平日営業のスーパー・百貨店・飲食店等の「売上」および「安定雇用」を生み出すことが産業・商業界から期待されている。
専業主婦を含む主婦は再生産労働を担当し、男性が賃労働をすることのできる生活の基盤を維持するために不可欠なものを支えているとされ、地域のボランティアや社会教育を担い、家庭や地域での活動を通じて社会貢献をしていると評価されている。
また、雇用関係下にある賃金労働者に比べ、日中の行動範囲は基本的に自由かつ多様で、行動は自己決定権の元にあり、経済力にも比較的余裕がある。
このような主婦の広範な行動力を見込んで、ショッピングモールや映画館などの商業施設は平日の日中から営業し、スポーツクラブや多彩なカルチャーセンターが活動的な専業主婦をターゲットに開かれていて、主婦向けに女性割引などのサービスがよく行われており、消費主体として注目されてもいる。